AviUtlこれは気をつけろ集
突然ですが
今適当に作ったこれ、何が悪いか具体的に指摘できますか?
少なくともなにやら大変なことになっているのは分かるかと思います。今回はこの画像を基に、AviUtlで自分が意識して避けていることを書いておきます。ブラッシュアップの際のチェックリストとしてどうぞ。
- 元のカラーパレットをそのまま使っている
- テキストを拡大率で大きくしている
- フォントがダサい(雰囲気に合っていない)
- デフォルトのカスタムオブジェクトはヤバい
- 色ずれ
- (フィルタ効果の)シーンチェンジ
- 縦書きのときの斜体
- モーションブラー
- 音声波形表示
- レターボックスのずれ
- テキストが同化して見えない
- 発光
- サイズがでけーテキスト
- 縁取り
- 凸エッジ
- 境界ぼかし
元のカラーパレットをそのまま使っている
この左のカラフルな窓がカラーパレットです(カスタム済み)。
既存のカラーパレットは原色ガン振りの色が設定されており、この色を使うとどうしても安っぽく見えてしまいます。特に三原色や黒など濃い色は使う場所を選びますから、自分なりによく使う色でカスタムしていくとよいと思います。
解決策としては暖色・寒色を揃えたり、カラーパレットを拾ってきてスポイトで配色したりするのが効果的です。
色を気にしていろいろいじった後がこちら。
画像の色調を少しいじっていますが、かなり印象が変わるのがわかります。
テキストを拡大率で大きくしている
テキストや図形を扱う際、拡大率で大きくすると輪郭がぼやけます。画像や映像などは仕方ありませんが(そもそも拡大率しかないので)、テキストや図形はサイズを大きくする癖をつけましょう。
ちなみに中間点を打って移動させたい場合は、逆にサイズを移動させてはいけません。動きがカクカクします。
この場合はうまいこと拡大率を100を超えないよう調整しつつ移動させた方が無難です。拡大率が100を超えない限りはぼやけは気になりません。
フォントがダサい(雰囲気に合っていない)
例はMS ゴシックです。ダサいことで有名なフォントです。やりようによってはスタイリッシュに決まることもありますが、ふつうはわざわざこれを選ぶ意味もないでしょう。
個人的にはその手のデフォルトでついてるフォントや、自由の翼フォント、源界明朝なんかに安っぽさを感じます(偏見)。
フォントというのはそれだけで動画の雰囲気を大きく左右するもので、チョイスをミスれば雰囲気がぶち壊しになることも珍しくありません。だから慣れていない人こそ、あれやこれやと無秩序にフォントを使用するのは回避すべきです。そういうのは慣れてきてフォントの雰囲気を掴めるようになってからでも遅くはありません、焦らずいきましょう。
ワタシも正直テキストの扱いは苦手で、どうやって置けばいいかやどのようなフォントが望ましいかなどいつも時間をかけて悩んでしまいます。
そんなときはセンスのいいサイトを眺めて参考にしてみましょう。
ちなみに源界明朝の代替としてはテキストにマスクでその辺のグランジの素材を合成してみたり、砕け散るTでちょっと亀裂を入れてみたりなどが挙げられます。おそらくほかにも手段はいろいろあるでしょう。
フォント選びでも配色と同じように、なるべく系統は統一するのが望ましいです。そちらのほうが断然雰囲気づくりはやりやすいはずです。
ってことで先の例をいじったやつ。
だいぶ落ち着いた感じに。ちなみに漢字がさつき源代明朝、英字がAmatic SC。
デフォルトのカスタムオブジェクトはヤバい
例では集中線があります。シチュエーションからして既に台無しですが、集中線自体もだいぶAviUtlっぽさを放っています。
もともとあるものだと走査線、多角形、扇型以外はそのままでは使い物にならない印象があります。フレアなどは特にまずいです。
雨(雪だったかも)はうまいことやるとパーティクルとして活用できるようですが、それでも本来の用途からは外れるので、結局雨としては使えないことになります。
周辺ボケ光量はまだ使えなくはないものの、見た目のわりにやけに重い気がするため、自分は使いません。
同じことをしたいときは部分フィルタで以下のようにぼかしと色ずれをかけます。こちらのほうがまだ軽いと思いますが、もしかしたら誤差程度かもしれません。
フレアはカスタムフレアという完全上位互換があるため、そちらの使用を強く推奨します。93さんのプリセットは導入しておいて損はありません。
AviUtl臭さをなるべく排除した最終版が以下。
個人的にはちょっと物足りませんが、安っぽさはそれなりに排除できたと思います。
色ずれ
色ずれをブチ込むとまず赤緑Aというものが適用されます。これも悪くはないのですが、そのままだと若干AviUtlっぽさがあります。
赤緑だとグリッチに一瞬突っ込んでいるくらいでも結構目につく印象があって、普段は目立つところには使わないようにしています。といっても場合によるけど
また、フレームバッファにかけると端っこが見えるのもムカつきポイント。これが出たら画像ループかモーションタイルTでカモフラージュしましょう。
(フィルタ効果の)シーンチェンジ
もう四年は使ってない──なんて言っていましたが、ランダムラインというものだけは何回か使っていました。
ランダムライン以外はシーンチェンジがだいぶ派手で、あまり使う気になれません。雰囲気にも合いませんし、そもそも1秒~2秒くらいはかけてやること前提の挙動な感じがします。音MADのように目まぐるしくシーンが変わる映像で使おうとしても大半は何が起きてるかわからなくなりそうですが、結局は使い方次第でしょうか。
普段は透明度を動かしてクロスフェードさせるか、追加したワイプを使っています。詳細は以下で。
縦書きのときの斜体
AviUtlでは、テキストの斜体を縦書きのときに適用すると右下がりになります。
ところが日本語においては、縦書きの際の斜体は、通常右上がりを用いるようです(なぜそうなるのか調べたけどよくわからなかった。知ってる人こっそり教えて)。
つまりAviUtlの斜体そのままでは変ということになります。回避するためには簡易変形か、斜スクリプトでいちいち変形させなければいけません。
夜で誰も見てないし自己流右肩上がりのテキストのやり方 pic.twitter.com/cszmp0OY2Z
— ウイロー (@_uiro__) 2022年2月1日
この記事のスクリプトをアニメ効果に昇格させました 縦向きにもできるようにしました #AviUtl https://t.co/Lg8tjXychZ https://t.co/GY7qFfsDd3 pic.twitter.com/vXlfdCfCZe
— ePi (@ePi5131) 2020年3月31日
モーションブラー
別の記事でも触れましたが、よほどのときでなければモーションブラーは避けるのが無難です。
重い、見た目が特殊、エンコが目に見えて遅くなるの三重苦。できれば方向ブラー、放射ブラー、回転ブラーなどで代替するのがいいですね。
分解能を上げると案外仕上がりがよくはなりますが、エンコが10倍くらい遅くなります。それが我慢でき、PCのスペック的にも問題がないという場合はモーションブラーでもいいのではないでしょうか。
ちなみに筆者がよく使っているこういう振動はオートブラー+を使っています。軽いわりに見た目もよくてお気に入りです。
さらにブラーに色ずれを混ぜることもでき、普通のブラーとはまた違ったテイストになるのもポイント。これおすすめ。
音声波形表示
AviUtlには以上の5タイプの音声波形があります。使いどころによってはちょっといじればいい感じになりますが、やはり多少はアレンジしたほうがいいでしょう。そのままはさすがにやめた方がいいです。
そもそも既存の音声波形はだいぶ音の拾い方が細かく、波形の動きも激しくなり何が起きているのかわからなくなります。
スクリプトでは数フレームの平均値を算出してその激しさを抑え、動きをぬるぬるさせた音声波形がありますので、こちらを利用するのがいいでしょう。
レターボックスのずれ
意外とあります。
レターボックスというのは画面上下の黒帯のことです。
こういうの。
基本的には黒背景に斜めクリッピングをかければできるお手軽な演出なのですが、なにかの拍子で座標がずれ、気づかないまま投稿まで行ってしまうことがあります(二敗)。
ごくまれにレターボックスの上や端っこからなにか見えている動画があるので、本当に気を付けてほしいところです。気づきづらい割にやらかしたら致命的です。
テキストが同化して見えない
背景がまぶしいと、白色のテキストが同化して視認性がカスになることがあります。逆も然りです。
シャドーや縁取りなどで応急処置はできますが、それでも視認性がよくないことには変わりがありません。
できれば読ませたいテキストならちゃんと背景から調えて読みやすくするのがいいでしょう。あまり弄りたくないなら図形を下に置くのもアリです。
発光
デフォルトの発光や拡散光、閃光はあまりに重すぎるので回避安定です。
どうしても使いたければ、発光は発光(軽量)というスクリプトがあるのでそっちを使いましょう。
発光(軽量)と色調補正を併用すれば、ディフュージョンと呼ばれる輪郭のボケみたいなものが作れます。拡散光も似たような感じになりますが(というかディフュージョン≒拡散光)、こっちのほうがたぶん綺麗にできます。明るさやコントラストの調整がかなりシビアで、ちびちびと調整する根気は要りますが。
サイズがでけーテキスト
先程は「テキストはサイズででっかくしろ」なんて言いましたが、テキストのサイズがデカくなると意外と重くなります。
これはテキスト単体でアルファPNG出力してから差し替えれば劇的に軽くなります。ただし「文字毎に個別オブジェクト」が要るモーションとかはできなくなるため(ex:TA-Normal)、条件付きにはなります。
ちなみに縁取りなどをかけまくって重くなったテキストにももちろん使えます。これのせいでエンコが一生終わらない方は、頑張って全部画像化してみる価値はあると思います。
(2023/02/11追記)
ちなみにこれ、patch.aulというものを導入しておくと大幅な改善が見込めるようです。テキストの処理爆速化以外にも、従来から改善されず残っていた微妙な不具合の修正も可能で、現環境では必要不可欠となっています。
特にデメリットはありませんので、入れない意味はありません。導入しましょう。
縁取り
デフォルトの縁取りは実は結構雑で、ところどころ欠けていたり、角張っていたりします。テキストの場合はわかりづらいのですが、切り抜いた画像に使うと結構粗が目立ちます。
図形の円に使うと、縁取りのサイズが大きくなるにつれなぜか円みも失われていきます。なので基本的に縁取りには縁取りTを使うほうが見た目は綺麗になります。
ただし四角形などに縁取りTをかけると角が丸みを帯びるため、むしろ角張っている方がいいという場合はデフォルトの縁取りのほうが適しています。
凸エッジ
ほどよく適用させればステンシルな表現が可能な凸エッジ。例の幅の値は8ですが(1280x720、 テキストサイズ136の場合)、これが大きくなるに比例してそこはかとないチープさが出てきます。
個人的には(テキストのサイズにもよるけど)10を超えてくるともう「らしさ」が出てきてしまう印象。かけるにしても気持ち立体感あるなくらいでやめとくのがちょうどいいと思います。
画像のように斜めに走っている筋みたいなのが見え始めたらやりすぎです。変にギラギラしていて、却って立体感が失われてしまいます。
開き直って限界まで振り切れば天使のはしごみたいで割といい気もしますが、やはりのっぺり感は否めません。
境界ぼかし
AviUtlの境界ぼかしもこれまた癖のある挙動をします。
輪郭が複雑な画像などなら大して気になりませんが、下のように四角いオブジェクトに境界ぼかしをかけると、縁取りのときと同様に角のほうがなんとなくカクついてしまいます。
バカ正直に四辺それぞれにぼかしかけてますみたいな見た目のせいで、角の方でぼかしが微妙にかぶってスジみたいなのも出ていますね。
わかりづらいですが、赤で囲ったあたりに輪郭が微妙に残っており、黒っぽく浮き出ているように見えます。
代替案としてはマスクが挙げられます。上の画像では円の縦横比を変えつつ輪郭をぼかしています。
境界ぼかしのようにしたければ、マスクの種類を背景にし、「元のサイズに合わせる」にチェック。そのままぼかしを調整すれば似たような感じになります。こちらは謎の筋は気になりません。なぜ初めからこういう挙動をしないのか…。
これ以上思いつかなかったのでとりあえずここまで。思いついたら追記していこうと思います。それでは。